遺産分割協議成立申立書は危険?横浜川崎自動車登録

お世話になっております。横浜市、川崎市を中心に車庫証明、車とバイクの登録、出張封印を行っている2&4ツーアンドフォーこぐち行政書士事務所です。当サイトをご覧くださいまして誠にありがとうございます。本日は、「遺産分割協議成立申立書は危険?」というテーマで書いていきます。前回の「普通車の相続」の補足です。

遺産分割協議成立申立書とは

本来、普通車の相続は相続人全員の実印・印鑑証明書及び遺産分割協議書が必要でした。

しかし、車1台のためにそこまでするのは煩わしいとの声がありました。

そこで、出てきたのが「遺産分割協議成立申立書」です。

普通車を相続する方1名の実印と印鑑証明書で、亡くなられた方からの名義変更が可能です。

用件(自動車登録業務等実施要領16ページから引用

⑦申請人である相続人の実印を押印した遺産分割協議成立申立書(申請人である相続人が、相続する自動車の価格が、100万円以下であることを確認できる査定書又は査定価格を確認できる資料の写し等を添付した場合に限る)

・民法の規定に基づく遺産分割協議が成立したこと及びその年月日を記載

・申立書による申請の同意を得ていること及びその年月日を記載

  以上を要約すると下記になります。

1,査定額が100万円以下であること。(査定は販売店で可能です)

2,遺産分割協議が終了し、相続人全員の合意を得ていること。

3,車を相続する方のみの実印、印鑑証明書で足りること。

懸念すること(販売店によっては、遺産分割協議成立申立書を拒否する場合があります)

紛争になるかも

本当に遺産分割協議が終了したのかを確認する必要があると思います。

何故ならば、相続人1名の実印・印鑑証明書で名義変更ができるためです。相続人には色々な考えの方がいます。

相続放棄が出来なくなるかも

被相続人(亡くなられた方)に借金などの債務があった場合、「相続放棄」が出来なくなる恐れがあります。以下、少し硬いですが、根拠を述べます。

民法915条(相続の承認又は放棄をすべき期間)

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない~以下略

民法915条

民法919条(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)

相続の承認及び放棄は、第915条第1項の期間内でも、撤回することができない。第2項以下~略~

民法919条

民法920条(単純承認の効力)

相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

民法920条

民法921条(法定単純承認)

次に掲げる場合には、相続人は、単純承認したものとみなす。

一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。~以下略

民法921条

このように、自動車等は民法の規定により、相続財産と考えられます。

従って

1,相続が争族になる。

2,被相続人に負債があった場合、相続放棄ができなくなる。

以上2点を警戒すると私は考えます。

まとめ

普通車、軽自動車、バイクも相続財産の一部です。

遺産分割協議書作成時に忘れがちですので、記載する必要があります。

記載例

令和5年2月4日、被相続人近藤太郎死亡により相続が開始したところ、相続財産について共同相続人全員による遺産分割協議の結果、次のとおり合意した。

第1条

 相続人近藤一郎は次の財産を相続する。

1,不動産

(1)土地

   不動産番号 030000000

   所在    神奈川県横浜市港北区○○町1丁目

   地番     1番

   地目     宅地

   地籍     165.00㎡

(2)建物

   不動産番号 03000000

   所在     神奈川県横浜市港北区○○町1丁目1番地

   家屋番号  1番

   種類    居宅

   構造    木造ストレート葺2階建

   床面積   1階  76.03㎡

         2階  52.80㎡

2,預貯金

  ㈱三井住友銀行横浜支店

   普通預金  口座番号  1234567

3,普通自動車

   車名:ホンダ

   型式:EK9

   車台番号:EK9-123457890

以下の条項を入れておくことをお勧めします。

第6条

 相続人全員は、本相続による相続財産の名義変更及び解約等の諸手続きにあたって、各々誠実に協力することを約束する。

第7条

 遺産分割協議完了後、相続財産が新たに発見された場合は、前記近藤一郎が相続し、同人が法定相続分割合による代償金を各相続人へ支払う。

第8条

 本遺産分割協議完了後、相続人全員は本遺産分割協議に関して本協議書に記載された条項以外、相互に何らの債権、債務のないことを確認するとともに、後日、再度の協議等、異議の申し入れを行わないことを確約する。

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